自治体の DX 推進において、AI 開発ツールの導入は大きな可能性を秘めています。しかし「調達手続きはどうすればいいのか」「個人情報保護条例との整合は取れるのか」「予算要求の根拠をどう示すか」といった疑問に直面している担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、公共機関や自治体が Claude Code を導入する際の実務手順を、調達準備から運用定着まで段階的に解説します。私自身、複数の自治体 DX プロジェクトに関わってきた経験から、現場で本当に必要とされる判断基準と手順をお伝えします。

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本記事の結論: Claude Code の自治体導入は、調達基準・個人情報保護・予算根拠の3軸を事前整理し、段階的な試行運用を経ることで実現できる

4段階
導入プロセス
3カ月
想定準備期間
5項目
調達要件の確認軸

自治体における Claude Code 導入の前提整理

公共機関が AI 開発ツールを導入する際、民間企業とは異なる制約と手順があります。まず押さえるべきは、Claude Code が「クラウドサービス」であり「データ処理を伴う業務支援ツール」であるという性質です。

総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」では、外部クラウドサービス利用時に「データの所在地」「セキュリティ対策の水準」「提供事業者の信頼性」を確認することが求められています。Claude Code(Anthropic Claude API を利用)は米国企業が提供するサービスですが、データ処理地域の選択やログ管理の仕組みは契約条件により異なります。導入検討の初期段階で、情報政策担当部門・法制担当部門と連携し、「どの業務範囲で利用可能か」の線引きを行う必要があります。

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個人情報保護条例との整合は必須です。住民の個人情報を含むデータを AI に入力する運用は原則避け、コード生成やドキュメント作成など「非個人情報業務」から始めることを推奨します。

先行して導入を進めている自治体では、「内部業務の効率化」を第一目的とし、「住民データは扱わない」「職員向けツールとして限定利用」という方針で運用を開始している例が多く見られます。

調達手続きと予算要求の実務

自治体における IT サービス調達は、地方自治法と各自治体の財務規則に従います。Claude Code のような SaaS は「物品購入」ではなく「役務提供」に該当するため、契約形態は「業務委託契約」または「使用許諾契約」となります。

予算要求時に必要な情報は以下の通りです。

1. 導入目的と期待効果の明示 — 「職員の開発業務時間削減」「システム保守作業の効率化」など、定量的な指標を示す。ただし「80%削減」といった根拠不明の数字は避け、「一部業務で作業時間短縮の事例がある」など抑制的に表現する

2. 利用想定人数と費用積算 — Claude Code は利用者数ベースの料金体系が一般的。初年度は試行運用として少人数(5-10名)で開始し、翌年度以降の拡大を見据えた段階的計画を示す

3. セキュリティ対策とガバナンス体制 — 利用規程・アクセス制御・ログ監査の方針を記載。セキュリティガバナンスチェックリストを参考に整備する

4. 他自治体や類似事例の参照 — 先行事例がある場合は、その導入効果(抑制的表現)や運用上の工夫を参考情報として添付する

調達方式は、年間契約額が自治体の「少額随契」基準内であれば随意契約が可能な場合もありますが、金額が大きい場合は一般競争入札または公募型プロポーザルが必要です。Claude Code は Anthropic が提供する単一サービスであるため、「特定サービスの利用」として随意契約が認められるケースもあります。事前に財政担当部門と協議し、調達方式を決定してください。

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予算確保の時期は自治体により異なりますが、多くは前年度の8-9月に予算要求を行います。導入検討は遅くとも前年度の春から開始する必要があります。

個人情報保護条例との整合と利用範囲の設定

自治体が保有する個人情報は、各自治体の個人情報保護条例および個人情報保護法(令和5年改正)により厳格に管理されています。Claude Code のようなクラウド AI サービスに個人情報を入力する行為は、「外部提供」に該当する可能性があり、条例上の制約を受けます。

実務上の対応方針は以下の通りです。

業務分類Claude Code 利用可否備考
内部システム開発・保守○(個人情報を含まない範囲)コード生成、テスト作成など
文書作成支援(内部文書)○(個人情報を含まない範囲)会議資料、マニュアル作成など
住民データ分析×匿名加工後も慎重な検討が必要
戸籍・税務システム開発データを含まない設計支援は可能な場合も

「個人情報を含まない業務」とは、住民の氏名・住所・生年月日などが一切含まれない業務を指します。例えば、庁内システムの共通ライブラリ開発、汎用的な業務フロー図の作成、技術ドキュメントの整備などが該当します。

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「匿名加工すれば利用可能」と安易に判断せず、必ず法制担当部門と個別協議を行ってください。匿名加工の基準は自治体により解釈が異なります。

利用範囲を明確にするため、「Claude Code 利用規程」を策定することを推奨します。規程には以下の項目を含めます。

  • 利用目的と対象業務の限定
  • 入力禁止情報の明示(個人情報、機密情報など)
  • 利用者の責任と遵守事項
  • 違反時の措置
  • 定期的な利用状況の監査方針

職員研修プログラムの設計

Claude Code を効果的に活用するには、職員への研修が不可欠です。自治体職員の多くはプログラミング経験が限定的であるため、「AI に何ができて何ができないか」「どのように指示を出すか」といった基礎から段階的に学ぶ必要があります。

推奨する研修プログラムは以下の構成です。

Phase 1: AI 基礎理解(2時間) — Claude Code の仕組み、AI の得意・不得意、セキュリティリスクと対策を座学で学ぶ

Phase 2: ハンズオン基礎(3時間) — 簡単なコード生成、文書作成支援を実際に体験。「適切な指示の出し方」を実習

Phase 3: 業務適用演習(4時間) — 自部門の実務に即したテーマで演習。例: Excel マクロ作成、HTML フォーム生成、業務フロー図の改善提案など

Phase 4: 振り返りとガイドライン共有(1時間) — 試行運用での気づきを共有し、「うまくいった使い方」「注意すべき点」をガイドライン化

研修は単発で終わらせず、導入後3-6カ月の試行期間中に複数回実施することが重要です。また、研修参加者から「推進担当者」を数名選定し、他職員への社内サポート役として育成する体制も有効です。

Claude Code 研修カリキュラムでは、自治体向けを含む具体的な研修設計例を紹介していますので、あわせてご参照ください。

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研修は「全職員一斉」ではなく、まず情報システム部門やDX推進担当など「技術に近い部署」から始め、成功事例を作ってから横展開する方が定着率が高まります。

補助金・交付金の活用可能性

自治体の DX 推進には、国からの財政支援制度が複数用意されています。Claude Code の導入が対象となり得る主な制度は以下の通りです。

制度名所管対象範囲
デジタル田園都市国家構想交付金デジタル庁・内閣府自治体DXの推進に資する取り組み全般
地方創生推進交付金内閣府地域課題解決に資する取り組み
地域情報化推進事業総務省(自治体により異なる)情報システム整備・運用改善

これらの交付金は「ハードウェア購入」だけでなく「業務効率化を目的としたソフトウェア導入」も対象となる場合があります。ただし、各制度には申請要件・対象経費の範囲・事業実施期間などの制約があるため、必ず最新の公募要領を確認してください。

交付金申請時のポイントは、「地域課題の解決」「住民サービス向上」「職員の働き方改革」といった文脈で Claude Code の導入効果を位置づけることです。例えば、「職員の開発業務効率化により、住民対応時間を増やす」「システム保守コスト削減により、他の住民サービス予算を確保する」といった説明が有効です。

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交付金の採択は競争的であり、必ず採択されるとは限りません。交付金ありきで計画せず、一般財源での導入も視野に入れた現実的な計画を立ててください。

Claude Code 補助金完全ガイド 2026では、民間企業向けを含む各種補助金制度の最新情報をまとめていますので、自治体向けに読み替えて参考にしてください。

段階的な導入ロードマップ

自治体における Claude Code 導入は、一度に全庁展開するのではなく、段階的に進めることが現実的です。以下のロードマップを参考にしてください。

Phase 1: 調査・検討期(3カ月) — 他自治体事例の収集、セキュリティ要件の整理、関係部署との調整。予算要求資料の準備

Phase 2: 予算確保・契約準備(3-6カ月) — 予算要求、議会説明、調達手続き、利用規程の策定

Phase 3: 試行運用(6カ月) — 限定部署(5-10名)での試験利用。研修実施、利用状況の監査、ガイドライン改善

Phase 4: 段階的拡大(12カ月〜) — 成功事例を基に対象部署を拡大。推進担当者による社内サポート体制の確立

各フェーズで「振り返り」を行い、問題点を洗い出してから次のフェーズに進むことが重要です。特に試行運用期では、「どの業務で効果があったか」「どこで困ったか」を詳細に記録し、次の展開に活かしてください。

まとめ

Claude Code の自治体導入は、民間企業とは異なる調達手続き・個人情報保護・予算制約といった条件をクリアする必要があります。しかし、適切な準備と段階的な進め方により、職員の業務効率化と住民サービス向上の両立は十分に可能です。

3軸
事前整理項目
(調達・個人情報・予算)
4段階
導入ロードマップ
限定範囲
試行運用の原則

重要なのは、「いきなり全庁展開」ではなく、「非個人情報業務での限定試行」から始めることです。成功事例を積み上げながら、利用規程・研修体制・サポート体制を整備し、組織全体での定着を目指してください。


株式会社デジライズの Claude Code 法人導入支援

デジライズでは、自治体・公共機関向けの Claude Code 導入支援を行っています。調達資料の準備支援、個人情報保護条例との整合確認、職員研修プログラムの設計・実施まで、導入初期から運用定着まで一貫してサポートします。

  • 研修プログラム: 自治体職員向けにカスタマイズした基礎〜実務研修(オンライン・オンサイト対応)
  • 導入コンサルティング: 予算要求資料作成支援、セキュリティ要件整理、利用規程策定支援

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